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サルサ・ラバーズ小説

サルサ音楽にのせて贈るダンサーたちの恋愛小説。ニューヨーク・シティーの雑踏の中で織られるラテン・アメリカン系の物語。様々な愛の形を、ブログ小説でお届けします。

テ・アモ(Te Amo)第3章

約半時間後、黄色いタイルの壁に安っぽいレースのカーテンが懐かしい店で、パエリヤの上に驚くほどの量のライムを絞りながら、彼女は、私の顔のパーツひとつひとつ を、検分するようにじろじろ見ていた。彼女の均整の取れた顔を眺めていると、自分の低い鼻や…

テ・アモ(Te Amo)第2章

エリカとは、大学に入学した頃からの付き合いになる。とは言っても、彼女は学生ではない。無断でキャンパスに入り込み、南棟の前の欅の下で、落ち葉にまみれて、ギターを抱えて歌っていたのだ。小麦色の肌と琥珀がかった瞳のせいでハーフに見えたが、後に、…

テ・アモ(Te Amo)第1章

細身のスーツを着こなした若い男性とエリカは、曇り空を指差し、肩をすくめ、笑いながらハグを交わし、手を振った。 スペイン語の嬌声があまりの大声なので、私はいちいち辺りを見回してしまうのだが、さすがはニューヨーク、人々はコートの襟を立てたまま、…

あなたたちが欲しくて(第1章)

サルサのリズムに、足が地を踏み、跳ね上がり、半拍子遅れて腰が8の字を描く。 踊っている理沙は、火の精だ、フロア中のすべての視線を吸収して、それをダンスシューズの先からのぞく、真っ赤なマニキュアをほどこした爪の先まで楽しんでいる。 素早く回転…